■保 存 版■

文字や絵には換えがたい極限の惨状をCDで!

人類の危機に立ち会った人たちの声 原爆の声CD付

今石元久 編著

A5判172頁・上製本カバー付
定価 本体1800+税 円/ISBN978-4-87440-933-6



今石元久 (いまいし もとひさ)

1940年生まれ。広島女学院大学講師、鳥取大学助教授、鳴門教育大学教授、広島女子大学教授を経る。県立広島女子大学名誉教授。 研究著作:『日本語音声の実験的研究』『日本語表現の教育』『音声研究入門』ほか。


◆もくじ◆

地獄の絵 ………………………………A Picture of Hell

原爆の声…………………………Atomic Bomb Voices
(1)声の迫真力 (2)声のデジタル化 (3)負の遺産 (4)原爆ネットワークの構築

原爆60年の声……………………Sixty Years of Voices
(1)ヒロシマの声 (2)ナガサキの声 (3)母と子で読む証言

ヒロシマの証言…………………Hiroshima Testimony
(1)私たちの原爆(肉声のCD付) (2)村上手記

原爆タワーと肉声のデジタル化…I Have Two Requests
(1)「原爆タワー」を! (2)被爆の肉声のデジタル化

◆特別寄稿
教え子(広島第二県女生)の被爆死を悼む  野 地 潤 家
◆備忘録
1 CD「私たちの原爆」の聴取のしかた 2 学徒動員の被爆 3 原爆被害に関する基礎
あとがき

原爆の声CD
「私たちの原爆」村上凡子 〈証言者〉


村上さんの証言は、被爆直後の広島が、まるでカラーつきの記録映画でも見るが如く活写されている。たとえば、はじめの「きのこ雲」がそうであろう。そして、村上さんが語った光景は、 残酷 極まりない地獄である。村上さんの話しが終わりになるころ、関西弁のイントネーションも飛び出すなど、こらえきれない、村上さんの深い深い感情をうかがうことができる。

(「(1)私たちの原爆 閃光と爆風」より抜粋)

M(村上) ちょうど、ねえ、あのー、学校が、ね、8時に始まって、で、あのー、講堂でいつも、ね、あのー、朝礼があったん(の)です。で、朝礼のときの校長さんが壇に上がってー、一応訓示をなさるわけですよね。 で、その、それが終わったときだったん(の)ですよね。校長が、あの、壇から下りかけようとなすって、あたしたちは、あの、起立して、そしてお辞儀をして、で、校長が壇から下りかけられたときに、あのー、北側の、 窓でね、ピカっと光ったわけ。あたしたち(わたしたち)呆然と、まぁ、立って(い)て、それが、ねぇ、あの、まだ入学して日も浅いですしねえ。だから、あのー、昔は写真を撮(と)るの、フラッシュを、ね、 マグネシウムをたいてフラッシュ、ぼっとたいて、ね、その光と同じような光だった(もの)ですからね。写真でも撮ったのかなぁと思ってぼやーっと立って(い)たら、そしたら、先生が、「はやくふせなさいー」って(と)言われて。 で、その椅子の下へ、ね、みんなもぐりこもうとしたわけですね。そのまえに見たら、やっぱり、ねぇ、あの瓦とか、ね、トタン屋根に、まぁ、あの、小屋なんかにして(い)るトタンが、ね、ひらひらっと横に飛んでいくのが 見えたん(の)です、よ。窓の外でねえ。で、あのー、ま、先生のお声を聞いてみんなもぐりこんで。(そう)したら、講堂が少し、ずーっと傾いてきたわけですよね。いっぺんにガシャっときたん(の)じゃなくてね。 わたしたちは、もー、しばらくじっとして。そしたら、また今度誰かが、「はやく外に出なさいー」って(と)言われて、で、あのー、外に出たわけです。もー、傾きかけて(い)るのを、もー、こうね、押し、押し分けながら外に出て。 ――