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ギッシングを通して見る後期ヴィクトリア朝の社会と文化 ―生誕百五十年記念―

著者
小池滋・富山太佳夫 他[松岡光治編] 
シリーズ
 
助成
07年度学術振興会助成 
判型
A5 
ページ
540 
定価
8,800円 (本体8,000円 )
発行日
2007年11月22日 
ISBN
ISBN978-4-87440-983-1 
Cコード
C3098 
ジャンル
文学・語学/欧米〈文学〉
 
内容
社会、時代、ジェンダー、作家、思想5大項目25章25人の執筆者で検証する時代精神と社会思潮。科学がもたらす戦争と混沌を予告し警告を発したギッシングの全貌と時代。
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まえがき

序 章 ギッシング小伝――ピエール・クスティヤス――【松岡光治/訳】

第1部 社会

第1章 教育――そのタテ前と本音【小池 滋】
 第1節 教育がオブセッションとなる時
 第2節 教育をめぐる諸問題
 第3節 精神成長をテーマとする小説
 第4節 教育が大衆化した時
第2章 宗教――なぜ書かなかったか【富山太佳夫】
 第1節 冒険小説と貧困小説
 第2節 職探し、引越し
 第3節 遺産相続
 第4節 中心なき宗教
第3章 階級――新しい「ミドル・クラス」【新井潤美】
 第1節 後期ヴィクトリア朝におけるロウワー・ミドル・クラス
 第2節 「ロウワー・ミドル・クラス小説」への転向
 第3節 郊外という舞台
 第4節 ヘンリー・ライクロフトの階級
第4章 貧困――貧民とその救済【石塚裕子】
 第1節 二人のブース
 第2節 慈善ブームと慈善団体の組織化
 第3節 貧者の天使とその実態
 第4節 ギッシングと社会主義、そして福祉国家への道程
第5章 都市――自分のいない場所がパラダイス【松岡光治】
 第1節 階級の壁と都市の街路
 第2節 人間を疎外する近代都市
 第3節 都市と郊外の同一化
 第4節 現実の都会と虚構の田舎

第2部 時代

第6章 科学――進化に背いて【村山敏勝】
 第1節 科学嫌い
 第2節 実証主義
 第3節 キリスト教ダーウィニズム
 第4節 遺伝学と生物社会学
第7章 犯罪――越境する犯罪と暴力【玉井史絵】
 第1節 「うまれながらの犯罪者」
 第2節 貧困と犯罪
 第3節 階級を越える犯罪
 第4節 国境を越える犯罪
第8章 出版――ギッシングと定期刊行物【グレアム・ロー(野々村咲子/訳)】
 第1節 定期刊行物市場の変貌
 第2節 連載出版へのギッシングの反応
 第3節 出版形態と文学形式
 第4節 変貌する文学市場への両価感情
第9章 影響――白鳥は悲しからずや【金山亮太】
 第1節 ディケンズへの片思い
 第2節 影法師に怯えて
 第3節 哲人と隠者のはざまで
 第4節 教養主義の終焉
第10章 イングリッシュネス――「南」へのノスタルジアの諸相【石田美穂子】
 第1節 失われた「イギリス」を求めて
 第2節 「南の異界」への関心
 第3節 架空の田園、イングランド幻想
 第4節 イングランドから/への二重のまなざし

第3部 ジェンダー

第11章 フェミニズム――ギッシングと「新しい女」の連鎖【太田良子】
 第1節 メアリとファニー
 第2節 心から体へ
 第3節 「解放された女」
 第4節 余計者の男たち
第12章 セクシュアリティ――「性のアナーキー」の時代に【中田元子】
 第1節 知性とセクシュアリティ
 第2節 男であることの困難
 第3節 母親のセクシュアリティ
 第4節 読書する売春婦
第13章 身体――「退化」としての世紀末身体【武田美保子】
 第1節 都市記号と身体意識
 第2節 優生学的な男性的身体の構築
 第3節 時代を映す鏡としての女性身体
 第4節 世紀末身体の魅惑と嫌悪
第14章 結婚――結婚という矛盾に満ちた関係【木村晶子】
 第1節 ギッシングの女性問題小説の背景
 第2節 結婚という不公平な関係
 第3節 結婚という金銭関係
 第4節 結婚という理想的関係
第15章 女性嫌悪――男たちの戸惑いと抗い【田中孝信】
 第1節 流動化するジェンダーの境界
 第2節 夢追い人ヴァラード
 第3節 心を閉ざす人ハーヴェイ
 第4節 ギッシングの脆き虚勢

第4部 作家

第16章 自己――「書く」自己/「読む」自己【新野 緑】
 第1節 自伝の諸相
 第2節 「書くこと」と自己抑圧
 第3節 「読むこと」と自己充足
 第4節 「自己」の本質
第17章 流謫――失われたホームを求めて【小宮彩加】
 第1節 生まれながらのエグザイル
 第2節 無階級の人々
 第3節 ホーム、スウィート・ホーム
 第4節 「これが私の望みだった」
第18章 紀行――エグザイルの帰郷【バウア・ポストマス(光沢隆/訳)】
 第1節 光かがやく古典文学の世界
 第2節 憧れの故郷、イタリア
 第3節 イタリアにおけるギッシング
 第4節 想像の世界と現実の世界
第19章 小説技法――語りの方法と人物造型【廣野由美子】
 第1節 自然主義的点描
 第2節 心理の流れ
 第3節 疎外の構造
 第4節 伝統と実験
第20章 自伝的要素――分裂する書く自分と書かれる自分【宮丸裕二】
 第1節 自伝の世紀末
 第2節 小説と自伝、混交する手法
 第3節 書く自分と書かれる自分
 第4節 自分のための文学の登場

第5部 思想

第21章 リアリズム――自然主義であることの不自然さ【梶山秀雄】
 第1節 リアリズムという病
 第2節 リアリストとは誰か
 第3節 そして「私」だけが残った
 第4節 メランコリー、そして終わりのない悲しみ
第22章 ヒューマニズム――時代からの亡命【ジェイコブ・コールグ(矢次綾/訳)】
 第1節 荒廃した時代を証言する
 第2節 教育はあるが金のない若者
 第3節 ジョージ・エリオットの影響
 第4節 ペシミズムの希望
第23章 審美主義――美を通じた理想の追求【吉田朱美】
 第1節 見ればわかる?
 第2節 「美の宗教」
 第3節 画家の使命
 第4節 歌声と道徳性
第24章 古典主義――ある古典主義者の肖像【並木幸充】
 第1節 古典主義者ギッシング
 第2節 古典・古代の追究
 第3節 歴史小説というジャンル
 第4節 『ヴェラニルダ』の生成
第25章 平和主義――その気質の歴史的考察【ピエール・クスティヤス(田村真奈美/訳)】
 第1節 私的・歴史的枠組
 第2節 子ども時代から世紀転換期へ
 第3節 反帝国主義と反軍国主義
 第4節 人間主義と人道主義

あとがき
年表
文献一覧
図版一覧
執筆者一覧
索引

《執筆者一覧》
新井潤美(あらい めぐみ)東京都出身 中央大学法学部教授
石田美穂子(いしだ みほこ)東京都出身 青山学院女子短期大学准教授
石塚裕子(いしづか ひろこ)北海道出身 神戸大学国際文化学研究科教授
太田良子(おおた りょうこ)東京都出身 東洋英和女学院大学国際社会学部教授
梶山秀雄(かじやま ひでお)大分県出身 島根大学外国語教育センター准教授
金山亮太(かなやま りょうた)兵庫県出身 新潟大学人文学部准教授
木村晶子(きむら あきこ)東京都出身 早稲田大学教育・総合科学学術院教授
クスティヤス,ピエール(Pierre Coustillas)フランス・ロレア県出身 リール大学名誉教授
小池 滋(こいけ しげる)東京都出身 東京都立大学名誉教授
光沢 隆(こうざわ たかし)愛知県出身 名古屋大学非常勤講師
コールグ,ジェイコブ(Jacob Korg)ニューヨーク出身 ワシントン大学名誉教授
小宮彩加(こみや あやか)埼玉県出身 明治大学商学部准教授
武井暁子(たけい あきこ)茨城県出身 山口大学教育学部准教授
武田美保子(たけだ みほこ)広島県出身 京都女子大学文学部教授
田中孝信(たなか たかのぶ)大阪府出身 大阪市立大学大学院文学研究科教授
玉井史絵(たまい ふみえ)奈良県出身 同志社大学言語文化教育研究センター准教授
田村真奈美(たむら まなみ)神奈川県出身 豊橋技術科学大学語学センター准教授
富山太佳夫(とみやま たかお)鳥取県出身 青山学院大学文学部教授
中田元子(なかた もとこ)静岡県出身 筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授
並木幸充(なみき ゆきみつ)東京都出身 東京理科大学理学部准教授
新野 緑(にいの みどり)兵庫県出身 神戸市外国語大学外国語学部教授
野々村咲子(ののむら さきこ)岐阜県出身 岐阜工業高等専門学校専任講師
廣野由美子(ひろの ゆみこ)大阪府出身 京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
ポストマス,バウア(Bouwe Postmus)オランダ・フローニンゲン州出身 アムステルダム大学人文学部教授
松岡光治(まつおか みつはる)福岡県出身 名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授
宮丸裕二(みやまる ゆうじ)神奈川県出身 中央大学法学部准教授
村山敏勝(むらやま としかつ)新潟県出身 元成蹊大学文学部助教授
矢次 綾(やつぎ あや)福岡県出身 宇部工業高等専門学校准教授
吉田朱美(よしだ あけみ)広島県出身 北里大学一般教育部専任講師
ロー,グレアム(Graham Law)マンチェスター出身 早稲田大学国際教養学部教授

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