検索結果一覧

「近代化」の反復と多様性 ―「東と西」の知の考古学的解体―

編者
伊勢芳夫 
シリーズ
 
助成
 
判型
A5 
ページ
424 
定価
7,700円 (本体7,000円 )
発行日
2021年6月1日 
ISBN
ISBN978-4-86327-558-4 
Cコード
C3090 
ジャンル
文学・語学/欧米〈文学〉 歴史・考古・民族/欧米
 
内容
グローバル化が進む非西欧世界においても、それぞれの国は独自の「近代化の顔」をもっている。本書は横断的な言語文化研究により、東アジアを中心にポストコロニアル期の「近代化」の反復と多様性を鮮やかに描き出している。

チラシ(0.98MB)ダウンロードする

渓水社で購入する

購入冊数

オンライン書店で購入

この本の目次を見る
はじめに

第1部

第1章 序論
 1.1.「近代化」について
   1.1.1.「 反抗者」と「反復者」―「反復者」を再生産する社会メカニズム―
   1.1.2. 大川周明の『新インド、もしくは移行期のインド』の「理解」と「無理解」
   1.1.3.「反復者」再生産の亜種について
   1.1.4.儚い夢
 1.2. 文化の拘束力についての一考察―「キャノン」と「ポピュラー」―
   1.2.1.「規制された反復」の増殖
   1.2.2.言語、及び、文化について
   1.2.3.文学におけるキャノンとポピュラーについて
   1.2.4.キプリングとヘンティについて
   1.2.5.反復と差異
 1.3. 文学作品を読むのは誰か?―読者論と間テクスト性―

第2章 「帝国主義」と間テクスト性
 2.1.「帝国主義」という語の変遷について
 2.2.キプリング作品への「帝国主義」の反響
 2.3.アンビギュアス性
 2.4.「 反復」、間テクスト性、そして言説形成=編成の関係性

第3章 「西の視点」と「東の視点」
 3.1.「亥の年」に来日したアメリカ人
 3.2.日本の「東」創造とその拡張の試み
   3.2.1. 言説形成と歴史性―「意味」の変質のメカニズム―
   3.2.2.「 オリエンタリズム(東洋研究)」から「反オリエンタリズム」へ
   3.2.3.「大東亜戦争」から「太平洋戦争」へ
 3.3.情報操作と言語空間―二つの軍事裁判―
   3.3.1.新興帝国主義国家としてのアメリカ
   3.3.2.インドと日本の言語風土の違い
   3.3.3.単一言語と情報操作
   3.3.4.情報操作によるグローバリズムの可能性と限界
   3.3.5.複数の「価値の源泉」

第2部
 
第4章  占領下日本における人口・優生政策の展開
       ―GHQ およびアメリカ人口学者・産児制限運動家の影響―

 4.1.はじめに
 4.2.日本占領の特徴
   4.2.1.経済分野の非軍事化
   4.2.2.占領下の検閲
   4.2.3.占領下の世論調査
 4.3. 人口問題・産児制限に関する世論調査へのGHQの関与
 4.4. 産児制限および人口・優生政策に対するGHQの関与
 4.5.日米の人口学者・産児制限運動家の連携
   4.5.1.日本の産児制限運動家の思想と行動
   4.5.2.アメリカ人口学者・産児制限運動家との連携
 4.6.日本政府および国会における人口・優生政策の変化
 4.7.産児制限から家族計画へ

第5章  戦勝国の「反抗者」から見た日本占領
      ―ヘレン・ミアーズとトレーシーから見た日本占領政策―

 5.1. 勝者の歴史言説と「反抗者」―『アメリカの鏡・日本』の2 重の敗北
 5.2.流通する「日本・日本人」イメージ
 5.3.「日本」言説に対する「反抗者」としてのミアーズ
 5.4.対抗言説のための戦略
   5.4.1.西欧列強の「優等生」としての日本イメージ
   5.4.2.経済的「弱者」としての日本イメージ
   5.4.3.ダブル・スタンダードとしての占領政策
   5.4.4.ミアーズの警告
 5.5.トレーシーの見方

第6章  ポストコロニアル現在と、その後のインドとバングラデシュのナショナル・アイデンティティ形成
 6.1.はじめに
 6.2. インドのナショナル・アイデンティティ形成におけるイギリス植民地主義の影響
 6.3.分離独立の後遺症
 6.4. インドにおける単一アイデンティ構想:多様性を維持した合一
 6.5.領土統合とアイデンティティ・ポリティクス
 6.6.言語の多様性とインドのアイデンティティ形成
 6.7.アイデンティティ・ポリティクスの経済的側面
 6.8. アイデンティティ形成における宗教的側面:インドのアイデンティティについての競い合うビジョン
 6.9.ダリット問題
 6.10.インドのナショナル・アイデンティティの方向性
 6.11. バングラデシュのナショナル・アイデンティティ形成
 6.12.バングラデシュのイスラム教の地域的特徴
 6.13. 植民地期のベンガルにおけるアイデンティティを巡っての緊張
 6.14.分離独立の人口動態論的結果
 6.15.民族・言語的なベンガル・アイデンティティの形成
 6.16. 1971年以降のベンガルもしくはバングラデシュのナショナル・アイデンティティ形成
 6.17.おわりに

第7章  台湾社会の言語状況を反映した台湾人アイデンティティ形成と変容
 7.1.はじめに
 7.2.エスニックグループと言語
 7.3.2つの国語教育
   7.3.1.日本統治時代(1895-1945)
   7.3.2.国民党政府統治時代(1945-1990)
 7.4.多元性のもつ学校言語教育(1990 年代以降)
   7.4.1.台湾古来の母語の教育の推進
   7.4.2.新住民言語教育の導入
 7.5.「 母語」と「華語/中国語」の変質―若い世代の言語観により―
 7.6.おわりに

第8章  少年時代の断片化された記憶、そして<原体験>
      ―三木卓の『ほろびた国の旅』を読む―
 8.1.はじめに
 8.2.『ほろびた国の旅』を書くこと
 8.3.五族協和と「あのころのふつうの日本人のこども」
 8.4.引揚げと「あのころのふつうの日本人のこども」
 8.5.おわりに

第9章 ロシアの「東」と「西」
 9.1.ロシアにおける近代化
   9.1.1.現代ロシアの近代化と国際関係
   9.1.2.ロシアはヨーロッパかアジアか
 9.2.ソビエト・ロシア映画にみるロシア社会
   9.2.1.『スチリャーギ(Стиляги)』に見る若者文化の対立
   9.2.2.スチリャーギの定義
   9.2.3.流れる音楽と映像効果
   9.2.4. 《Человек и кошка》「人間とネコ」と《Моя маленькая бейба》「僕の可愛いベイベー」
   9.2.5. 《Прощение Чувих (Ему не нужна американская жена)》「娘たちの別れ(アメリカ人妻は必要ない)」
   9.2.6. 《Восьмиклассница》「8 年生」と 《Скованные одной цепью》「一つの鎖で繋がれた者たち」
   9.2.7.Мэлс(メルス)、Полина(ポリーナ)の運命
   9.2.8.コムソモールとスチリャーギ
   9.2.9.「本物の」アメリカとは
   9.2.10.新しい価値観の受容と拒否
 9.3.『 職場恋愛(Служебный роман)』に見る 34 年の生活の変化
   9.3.1. ソ連版『職場恋愛(Служебный роман)』に見る市民の生活
   9.3.2. ロシア版『職場恋愛 僕たちの時代(Служебный роман.Наше время)』に見る市民の生活
   9.3.3.ヨーロッパからアジアへの関心
 9.4.ソ連・ロシア社会における女性像
 9.5.ロシアの目指す「近代化」とロシアの意識

第10章 結語

参考文献
あとがき
索引
戻る