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ヘーゲルの媒介思想 

著者
大田孝太郎 
シリーズ
広島経済大学研究双書第45冊 
助成
 
判型
A5 
ページ
392 
定価
4,400円 (本体4,000円 )
発行日
2018年3月31日 
ISBN
ISBN978-4-86327-440-2 
Cコード
C3010 
ジャンル
哲学・宗教
 
内容
ヘーゲル哲学の核心にある「媒介」の思想の成立過程を、当時の時代状況と思想史的背景から新たに読み解くことによって、「弁証法」の復権をはかる。
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まえがき

序 章

第一章 ヘーゲルの媒介思想
 一 「反省」(あるいは「悟性」)と「媒介」
 二 「民族宗教」の構想と「回り道」(=媒介)の教義としてのキリスト教の批判
 三 『キリスト教の既成性』――イエスの「権威」を媒介とするキリスト教の批判
 四 『信仰と存在』(一七九八年)――フランクフルト期のヘーゲルにおける「信仰」と「理性」
 五 「生」と「愛」
 六 「愛」と「反省」
 七「批判的」理性から「弁証法的」理性へ
 八 イェーナ期――媒介概念の成立

第二章 若き日の理想の展開
 一 思想的出発点
 二 テュービンゲン期(一七八八~一七九三)――「媒介」としてのキリストの批判
 三 ベルン期(一七九三~一七九六)――「媒介」としてのイエスの「権威」の発生史論的批判
 四 フランクフルト期(一七九七~一八〇〇)――「愛」(直接性)と「反省」(媒介)との相剋

第三章 経済学研究への道――「反省形式」としての「所有」から全体的な「生」(=「理想」)へ
 一 若きヘーゲルを取り巻く政治的・宗教的状況
 二 「私的宗教」としてのキリスト教批判と「民族精神」の形成
 三 キリスト教と「所有」の問題
 四 「所有」の批判から「運命」としての「所有」へ
 五 ドイツ国家の現状と「ユダヤ教の精神」
 六 古代ギリシアの民とユダヤの民――「所有」権の制限が生み出す対極的な民族
 七 「所有」の運命とイエスの「愛」の宗教
 八 「死せるもの」(「所有」)の世界から「生けるもの」の世界へ
 九 「所有と法の体系」としての近代市民社会への内在――「政治経済学」研究へ

第四章 「生」(Leben )概念の帰趨――「生」「反省」「愛」
 一 「生」と「概念」の間はざまで
 二 若き日の「理想」――「生」概念の源泉
  (a)「一にして全」
  (b)「理性と自由」を具現した「神の国」
 三 「民族宗教」論――「生」概念の生成
  (a)「感性」と「理性」の調和としての「民族宗教」
  (b)悟性的「啓蒙」の批判
  (c)生き活きとした(lebendig)宗教としての「主体的宗教」
 四 『キリスト教の精神とその運命』――「生」概念の成立
  (a)「一にして全」から「生」の概念へ
  (b)ヘルダーリンとヘーゲル――「生」と「愛」をめぐって
  (c)「愛」―「反省」(「所有」)―「生」
 五 「生」の認識への道
  (a)『信仰と存在』(一七九八年)――「悟性」(「概念」)・「アンチノミー」・「信仰」
  (b)「個」と「生」を媒介するものとしての「反省」(「悟性」)概念の成立
  (c)「反省」(「悟性」)・「アンチノミー」・「理性」

第五章 イェーナ初期のヘーゲル――「媒介」概念の成立過程
 一 「媒介」概念成立に至るヘーゲルの思想的道程
 二 カント哲学――「媒介」の主観化
  (a)「先験的演繹論」とヘーゲルの解釈
  (b)「先験的弁証論」とヘーゲルの解釈
 三 ヤコービ哲学――「媒介」の有限化
 四 フィヒテ哲学――「媒介」の悪無限化
 五 「媒介」概念の構想

第六章 『精神現象学』の成立と方法の問題
 一 『精神現象学』成立の時代背景
 二 思想史的背景――思想史の三段階把握
 三 「反省文化」批判
 四 「有限性の実在論」批判
 五 「媒介」の立場
 六 「叙述」の方法
 七 「限定された否定」(bestimmte Negation)

第七章 『精神現象学』「序文」(Vorrede) の考察――「媒介」概念の生誕
 一 同時代認識と「哲学の要求」
  (a)「反省文化」と哲学の課題
  (b)フランス革命とヘーゲルの時代認識
  (c)「絶対自由」と「無限判断」
  (d)新しい「精神」の出現と「哲学の要求」
 二 同時代の哲学に対する批判
  (a)時代の産物としての「反省哲学」
  (b)『信と知』における「反省哲学」の批判
  (c)『精神現象学』「序文」における「反省哲学」の位置づけ
  (d)「反省文化」のパラダイム――啓蒙とロマン主義の対立
 三 「媒介」の体系としての『精神現象学』の生成
  (a)「反省哲学」批判から体系的な知へ
  (b)新しいパラダイム論としての「精神」の現象学
  (c)媒介知としての「悟性」=「反省」
  (d)「実体」=「主体」――「媒介」の体系の成立

第八章 媒介概念を手引きとする『精神現象学』の解明
 一 「反省」と媒介
 二 「自我」と媒介
 三 「生成」と媒介

第九章 媒介としての「言語」
 一 言語――「精神の定在」
 二 「直観」(直接的なもの)の否定としての言語
 三 「思惟の身体」としての言語
 四 感覚的な「このもの」と言語――『精神現象学』冒頭章の解釈
 五 言語の三つの性格――「記号」「名称」「ロゴス」
 六 ヘーゲルの言語観から見た『精神現象学』理性章「頭蓋論」の解釈
 七 「意識の定在」から「精神の定在」へ
 八 「精神の定在」としての言語の歴史
 九 「分裂した言語」から「良心の言語」へ

第十章 媒介としての「教養」
 一 ゲーテとヘーゲルの教養観――人間の「自然性」の克服
 二 ヘーゲルの教養観を貫くもの――共同的な主体への自己形成
 三 シラーの教養観とヘーゲルへの影響
 四 教養の主体的条件――ギムナジウム校長時代のヘーゲルの教養観
 五 教養がめざすもの――独立不羈の社会的主体の形成
 六 ヘーゲル教養論の核心――「疎遠なもの」(「隔離壁」)を媒介とする自己形成

終 章

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