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学級の教授学説史 ―近代における学級教授の成立と展開―

著者
熊井将太 
シリーズ
 
助成
2017年度学術振興会助成 
判型
A5 
ページ
392 
定価
6,380円 (本体5,800円 )
発行日
2017年11月28日 
ISBN
ISBN978-4-86327-417-4 
Cコード
C3037 
ジャンル
教育〈教育学〉
 
内容
「教師中心―子ども中心」といった理論的二分法から脱し、歴史的文脈に立ち返って学級組織に付与されてきた教育的意図の漸進的発展の諸相や内在する課題を考察する。
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まえがき

序 章 研究の目的および構成

 第一節 本研究の目的、対象、方法

 第二節 先行研究の検討と課題


第一章 近代教授学説史における学級組織の理念的原型

 第一節 近代以前における学級組織の実態的発展
  第一項 群的学級の成立と個別授業
  第二項 「パリ様式」にもとづく学級制度の整備と拡大
  第三項 中世的教育観における学級教授の位置―イエズス会学校を中心に―

 第二節 近代教授学の生成と学級教授の理論的展開
      ―ラトケを中心に―
  第一項 17世紀の教育課題と近代教授学運動
  第二項 ラトケの学校構想における学級組織の位置
    1.ラトケの教授学における学級観―ケーテンの事例を中心に―
    2.一般教育の構想における学級組織の位置づけ
  第三項 一斉教授としての学級の基礎づけ

 第三節 近代教授学説史における学級教授思想の成立
      ―コメニウスにおいて―
  第一項 学級編成原理の転換
    1.コメニウスにおける学級像
    2.年齢別学年制学級の基礎づけ
  第二項 コメニウスにおける学級教授の方法論
  第三項 「学級」の教授学的意味への着目
    1.「遊戯」の要件としての集団
    2.生徒相互の教え合いの意味づけ
    3.学級教授論における二つの転換

第二章 国民教育制度下における学級組織の制度的拡大

 第一節 中等教育における学級組織の展開
  第一項 教科学級組織の成立と拡大
    1.フランケによる教科学級組織の成立―コメニウス以後の授業組織―
    2.教科学級組織の理念的基礎
  第二項 新人文主義的改革と学年制学級組織の成立
    1.ギムナジウムにおける学年制学級組織の成立
    2.学級組織の導入を支えた二つの意図

 第二節 民衆学校における学級組織の萌芽
  第一項 19世紀前中期における民衆学校の教育現実
    1.反動期における民衆学校をめぐる動向
    2.「三規程」下における学校教育
  第二項 都市部の民衆学校における学級組織の萌芽

 第三節 近代学校の確立と学級組織の拡大
  第一項 「一般諸規程」による民衆学校の近代化 
    1.「一般諸規程」の公布
    2.「一般諸規程」の教授学的特質
  第二項 第二帝政期ドイツにおける民衆学校の動向

第三章 教育学的問題としての「学級」を巡る議論の展開
       ―ヘルバルトおよびツィラーを中心に―


 第一節 ヘルバルトによる「学級についての教育学的所見」
  第一項 固定担任制をめぐる議論
    1.興味論の観点から見た学級組織の問題性
    2.ヘルバルトによるグラフ提案への批判
  第二項 ヘルバルトにおける学級改造の提案
  第三項 ヘルバルト教育学における学校・学級の忌避
    1.ヘルバルトにおける教育と社会との関係
    2.ヘルバルト教授理論における学習の個人的性格

 第二節 「ヘルバルト派」教授理論による学年制学級の基礎づけ
      ―ツィラーを中心に―
  第一項 「ヘルバルト派」の生成と拡大
  第二項 学級組織の教科課程論的基礎づけ
    1.ツィラー教育学の基礎原理
    2.ツィラーにおける教科課程論と学級組織との関連
  第三項 一斉教授としての学級教授論の構築
    1.一斉教授の方法論の体系化
    2.学級集団の管理
  第四項 ヘルバルト教育学の転用とその帰結

第四章 社会的観点からの学級教育の把握と再編

 第一節 社会的観点からの教授学の再編
      ―ヘルバルト教育学の相対化の起点としてのマーガー―
  第一項 社会的教育学の生成と陶冶概念の拡張
  第二項 「発生」原理にもとづく教授理論の構想とその帰結
    1.マーガーにおける「発生」原理
    2.マーガーの発生的方法の教授学的帰結
  第三項 マーガーによるヘルバルト教育学の捉え直し

 第二節 シャイベルトによる学級観の転換と学級教授の再編
  第一項 学校観の転換と陶冶概念の再編―一般陶冶と職業陶冶との関連から―
  第二項 シャイベルトにおける学級教授の改造
    1.「自由な授業形態」による授業方法論の転換―大量一斉教授批判として―
    2.学校生活による学級共同体の形成
    3.学年制学級組織の発達論的意義
  第三項 「ヘルバルト派」教授理論におけるシャイベルトの位置と役割

 第三節 デルプフェルトによる学年制学級教授への批判と複式学級教授論
  第一項 学年制学級に対する批判的視座と複式学級教授論の展開
       ―単級および多級学校を巡る議論から―
    1.多級学校をめぐる言説に対する批判的視座
    2.四級制(複式学級制)学校の十の利点
  第二項 「教授上の唯物主義」との闘争における複式学級の位置
    1.複式学級における授業の構成とその特質
    2.生活に根ざした教科課程編成と教科担任制への批判
    3.一斉教授と個別教授の結合としての複式学級教授
  第三項 マーガーの学校共同体のイデーの継承と変容

第五章 学年制学級の改革と授業指導論の展開
       ―イエナ大学附属学校を中心に―


 第一節 「生活空間」としての学校改革―シュトイにおいて―
  第一項 シュトイにおける学校生活の理論的基礎
    1.一般教育学における教授と訓練(指導)との相関
    2.「訓育的教授」の成立契機としての学校生活
  第二項 附属学校(ヨハン・フリードリヒ・シューレ)の成立史と構造的特質
  第三項 シュトイの教授理論の特質
       ―ヨハン・フリードリヒ・シューレにおける教育実践から―
    1.学校生活の実践とその教育的意図
    2.生活の視点からの学級教授の改造
    3.「ヘルバルト派」におけるシュトイ教授理論の特質

 第二節 「訓育学校」としての学校改革―ラインにおいて―
  第一項 附属学校の継承と改編―ペーターゼンとの論争を通して―
    1.「教授学実験」の場としての附属学校の再編
    2.附属学校を巡るペーターゼンとの論争
  第二項 ラインの教授理論における学級組織の位置と役割
    1.ツィラー教授理論の継承としての学級教授
    2.シュトイ指導論の理論的整理と学校生活の継承
  第三項 ラインの教授理論の進歩性と限界
    1.「改革教育学」への媒介項としてのライン―リーツへの影響を中心に―
    2.「ヘルバルト派」教授理論の統合過程と変質

 第三節 「教育共同体」としての学校改革―ペーターゼンにおいて―
  第一項 イエナ・プランにおける学年制学級への批判とその再編の視点
  第二項 イエナ・プランにおける学級教育の改造
  第三項 イエナ・プランにおける「ヘルバルト派」教授理論の批判的継承と発展
    1.「ヘルバルト派」に対するペーターゼンの評価
    2.イエナ・プランにおける伝統と革新―学級組織に焦点を当てて―

終 章 近代教授学説史における学級組織の構造と特質

 第一節 各章で得られた知見

 第二節 本研究の成果と課題

主要参考文献

あとがき

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