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シリーズ 甲状腺・広島から vol. 1

放射線被曝と甲状腺がんA4判・150頁・仮製本・定価1,575(本体1,500+税)円
ISBN978-4-86327-152-4 C3047・2011年8月1日発行


被爆地・広島と、原発事故発生地域での現地調査から
専門家がみる、甲状腺がんの発生状況とその対応。

   執筆者(本書より抜粋)

佐渡敏彦(さど としひこ)
 
昭和8年生まれ
 昭和30年 九州大学農学部農学科卒
 昭和35年 九州大学大学院博士課程単位取得
 昭和37年 九州大学農学博士

 国立遺伝学研究所形質遺伝部研究員、米国オークリッジ国立研究所生物部研究員、等。
 大分県立看護科学大学人間学講座生体科学教授を歴任。

 現在 放射線医学総合研究所名誉研究員、大分県立看護科学大学名誉教授
 専門 放射線免疫学、放射線発癌


武市 宣雄(たけいち のぶお)
 
昭和19年生まれ
 昭和43年 広島大学医学部医学科卒
 昭和51年 医学博士
 昭和52年 アメリカUCLA助手、放射線影響研究所病理部来所研究員
 昭和59年 広島大学附属病院講師

 現在 武市(甲状腺)クリニック院長(平成7年〜)
     広島大学原爆放射能医科学研究所非常勤講師
     日本内分泌甲状腺外科専門医(評議員)ほか、日本消化器外科学会、
     日本外科学会、日本臨床外科学会等の認定医
 専門 内分泌(甲状腺)外科、甲状腺、放射線発癌

星 正治(ほし まさはる)
 
昭和23年生まれ
 昭和45年 大阪大学理学部物理学科卒
 昭和47年 大阪大学大学院理学研究科博士課程経て
 昭和52年 広島大学大学院理学研究科博士課程物理学専攻単位習得、理学博士
 昭和55年 広島大学原爆放射能医学研究所助手
 平成4年 広島大学附属原爆被災学術資料センター助教授
 平成17年 広島大学放射線医科学研究所放射線システム医学研究部門
        線量測定・評価分野教授

 現在 広島女子大学講師、金沢大学低レベル放射能実験施設客員教授、
     内閣府原子力安全委員会緊急事態応急対策調査委員、等。
 専門 放射線生物学、物理学

安井 弥(やすい わたる)
 
昭和30年生まれ
 昭和57年 広島大学医学部医学科卒
 昭和61年 広島大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士
        広島大学医学病理学第一講座助手
 昭和62年 米国スクリップス研究所研究員
 平成元年 広島大学医学部病理学第一講座講師
 平成14年 広島大学大学院医歯薬総合研究科探索医科学講座教授

 現在 広島大学大学院医歯薬総合研究科放射線ゲノム医科学講座教授、
     広島大学医学部学部長補佐、広島大学大学院医歯薬学総合研究科副研究科長、等。
 専門 腫瘍分子病理学、人体病理学、消化器癌
   監修者のことば(本書より抜粋)

 この度、永年にわたり広島の原爆被爆者、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故およびセミパラチンスクにおける原水爆実験からの核分裂生成物による放射線被曝者に発生した甲状腺がんの疫学、検診、治療および病因論について精力的に研究してこられた武市甲状腺クリニック(広島)院長武市宣雄博士が、その研究の成果を一冊の本にまとめられ、その監修を私に求められた。
(略)
 私が放医研在職中の1980年に、当時広島大学原爆放射能医学研究所放射線誘発癌病理研究部門に籍をおいておられた武市先生が、私の放射線および免疫老化学の師であるタカシ・マキノダン博士(当時カリフォルニア大学教授)のもとへ留学されることになり、留学に先立つ半年ほどの間、私の研究室に免疫と老化に関する基礎知識の習得のために研修に来られたことがあった。米国留学から帰国されたあとは広島大学医学部外科学教室で甲状腺外科の研鑽を積まれ、1995年には甲状腺を専門とする武一クリニックを開設し、その院長として、甲状腺疾患特に甲状腺がんの診断、検診、治療を続け、今日に至っておられるが、その間、飽きることなき執念をもって原爆被曝者、チェルノブイリ原発事故およびセミパラチンスク核実験の被曝者に発生する甲状腺がんの疫学、診断、治療および病因論について調査研究を続けてこられた。(略)先生がこれほどまでにチェルノブイリに執着される理由は、チェルノブイリ周辺地域における小児甲状腺がんの発生には、先生が本書の中で度々指摘しておられる「広島の原爆被爆者甲状腺がん発生の空白の10年」を埋める重要な手掛かりが得られると強く信じておられたことによる。
(略)
 本書には、これまでのチェルノブイリ事故による甲状腺がん発生に関する調査研究の一端として、チェルノブイリ周辺地域と広島の年少者の尿中のヨード濃度を比較したデータも示されており、海草類を多く摂取する日本人はチェルノブイリ周辺地域の住民よりも日常的な食生活から得られるヨウ素濃度が高いために、原発から放出された放射性ヨウ素が小児の甲状腺に取り込まれる割合も日本人の方がかなり低く、甲状腺がんの発生リスクもその分だけ低くなるだろうとの指摘は非常に説得力がある。このことも含め、本書は放射線によって誘発される成人および小児甲状腺がんについての理解を深める意味で、放射線の生物および人体影響の研究者や原発周辺地域に住んでおられる医師および放射能による環境汚染の健康リスクへの影響に関心をもたれる科学者や一般市民にとってぜひ手元においておく価値がある一冊である。そういう意味でこの本は私が永年にわたって待ち望んでいたものであり、日常の超多忙な臨床業務のかたわら、これだけの本をまとめられた武市先生の熱意とご努力に心からの感謝と敬意を表したい。
   目次

監修者からのことば(佐渡敏彦) 著者からのことば  放射線と甲状腺がんの因果関係を詳説(星正治)  被曝後の甲状腺がんの発生を病理面から(安井弥)  本書作成の意義と放射線被曝後の甲状腺異常:甲状腺がんを中心に(武市宣雄)  1.はじめに 2.甲状腺がんの治療 1)被曝者甲状腺がん治療の状況  (1) ヨード(ヨウ素)  (2) 小児の甲状腺手術  (3) 1991年の広島でのチェルノブイリ公開報告会 2) 被曝者の甲状腺がん手術  (1) 甲状腺全摘術  (2) 小児の甲状腺穿刺診 3 原爆被爆と甲状腺 1)原爆被爆者の甲状腺がん  (1) 広島の原爆被爆当時の状況と、被曝者の小児甲状腺がん   a.原爆被爆者   b.放射線被曝と小児甲状腺がんの報告  (2) 広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査   a.臨床的甲状腺がん(臨床がん)   b.潜伏がん(微小がん)   c.潜伏がん(微小がん)と臨床がんの放射線量、被曝時年齢、性差との関係 2)原爆被爆者甲状腺に関するその他の関連情報  (1) 被曝直後の甲状腺組織変化  (2) 原爆被爆者の慢性甲状腺炎(橋本病)  (3) 原爆被爆者の甲状腺機能  (4) 原爆被爆者の低分化がん、未分化がん   a.広島大学第2外科症例   b.武市甲状腺クリニック症例   c.RERF-LSS集団,1983年の報告から  (5) 原爆被爆者甲状腺がんの腺内多発性   a.広島大学第2外科症例   b.チェルノブイリ症例 3)バセドウ病へのI-131治療  (1) I-131投与後の甲状腺組織変化,1976年報告  (2) I-131投与後の甲状腺がん,1978年の調査結果 4)最初の“原爆被爆者の甲状腺がん発生過程の仮設,1993年” 4 チェルノブイリ原子力発電所の事故(写真1)と甲状腺 1)はじめに  (1) 放射能汚染  (2) 周辺住民の避難  (3) IAEA報告:放射線量と甲状腺  (4) I-131汚染地図と低ヨード地域(ベラルーシ,ウクライナ) 2) 広島からの第1回チェルノブイリ現地調査報告,1991年  (1) チェルニゴフ第2病院(ウクライナ)での初回甲状腺検診  (2) 硬化性甲状腺腫  (3) 硬化型甲状腺がんと低分化型甲状腺がん  (4) 小児甲状腺がん手術例  (5) 小児甲状腺がんの疫学調査に関して  (6) 1991年に考えられたチェルノブイリ原発事故、     放射線汚染住民の“甲状腺がん発生率推移の仮説”  (7) 第1回チェルノブイリ現地での甲状腺調査報告書 3) チェルノブイリで我々の行ってきた初期(1991〜1995年の間)の    甲状腺検診と甲状腺がん関連情報の集収  (1) はじめに  (2) チェルノブイリでの小児甲状腺がん発生数と発生率の報告,    1992年まで,ウクライナでの小児甲状腺がん発生率の初めての報告を含めて   a.ウクライナ(小児甲状腺がん発生率を含む)   b.ベラルーシ  (3) 長崎シンポジウム(ベラルーシでの小児甲状腺がん発生率の初めての     報告も含めて),1994年  (4) ウクライナ(1981〜1994年)とベラルーシ(1986〜1993年)両国の、    州別の小児甲状腺がんの発生数と発生率(I-131線量別の情報を加えて)   a.ウクライナ   b.ベラルーシ  (5) ウクライナのドニエプル川沿いの小児甲状腺がん発生率,1994年まで,    上流から下流に向かって(上流程、発生率は高い)(文献11)  (6) チェルノブイリでの小児甲状腺がんの外科的所見,1986〜1993年   a.小児甲状腺がんの臨床,1986〜1992年   b.小児甲状腺がん例の病理組織所見:がん部と非がん部,1990〜1993年  (7) 我々の1992年のウクライナの小児甲状腺検診結果   a.ウクライナの小児甲状腺(小児甲状腺腫)の大きさと硬さ   b.ウクライナの小児における甲状腺機能検査(FT3,FT4,TSH)と甲状腺自己抗体   c.ウクライナの小児甲状腺がんの穿刺吸引細胞診(穿刺診)所見   d.ウクライナの小児の尿中ヨード量,1992年  (8) ウクライナの小児の尿中ヨード量,1993年  (9) ウクライナと日本(広島市)の小児(学校児童)の尿中ヨード量の比較,     1994年(広島市の小児の尿中ヨード量が入る)  (10) ウクライナのドニエプル川沿いに住む小児(児童)の     尿中ヨード量(学校検診),1993〜1995年  (11) 関係各国(ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、日本)の食塩中の ヨード量,1993〜1995年 4) 最初の“チェルノブイリ原発被災小児の甲状腺がん発生過程の仮説,1993年” 5) 2004年までのベラルーシとウクライナの甲状腺がん発生:    事故後の経年的な発生率の動向(1986〜2004年)  (1) ベラルーシの小児甲状腺がん発生率と、被曝後最短潜伏期間,1986〜2003年   a.ベラルーシ全体   b.小児期被曝者の甲状腺がん発生までの“最短潜伏期間”,2003年までを見て   c.州別  (2) ベラルーシの15−18歳の青年期甲状腺がん発生率と、被曝後最短潜伏期間   a.発生率   b.最短潜伏期間  (3) ウクライナの小児甲状腺がん発生率  (4) チェルノブイリでの原発事故後の小児甲状腺がんの発生時期  (5) 原発事故時の1986年にウクライナで18歳以下の者(0−14歳の小児期と5−18歳の    青年期を加えた若者)に、1986〜2001年の間に発生した甲状腺がんの症例数  (6) ベラルーシの成人(19−39歳の青壮年期の者)での甲状腺がん発生率,     1986〜2003年 6)チェルノブイリ原発事故被災者の甲状腺に関するその後(2001年以後)の関連情報,   広島の情報も一部加えて  (1) 甲状腺の組織変化、チェルノブイリと広島の被曝者の違い  (2) チェルノブイリの小児甲状腺がんと、そのRETがん遺伝子  (3) チェルノブイリ、甲状腺検診での硬化性甲状腺腫 5 広島とチェルノブイリで得られたその後の甲状腺の情報 1) 広島の原爆被爆60年(2005年)を経過して分ってきたこと  (1) 広島の10−18歳の16人の若者の尿中ヨード量,2002年  (2) 広島の原爆被爆者甲状腺のRETがん遺伝子   a.チェルノブイリ甲状腺がんのRET   b.広島の原爆被爆者のRETがん遺伝子異常(浜谷ら)の報告,2008年   c.広島(手術例)での報告   d.放射線被曝後の甲状腺がん発生とRET  (3) 甲状腺のTSH受容体(TSH-R)の感受性   a.甲状腺正常部のTSH感受性   b.甲状腺がんのTSH感受性  (4) 甲状腺の女性ホルモン量と、エストロゲン受容体(E-R)の感受性  (5) 甲状腺のTSH-R感受性とE-R感受性の相関関係,    甲状腺がんのTSH−RとER感受性の相乗効果  (6) 甲状腺のER量  (7) 甲状腺非腫瘤部(正常部)甲状腺の細胞診所見  (8) 広島の原爆被爆者と末梢血リンパ球の染色体異常  (9) 日本人(小児を含めた)の甲状腺腫の大きさに関しての報告  (10) 新しい“原爆被爆者の甲状腺がん発生過程の仮説,2010年” 2) ベルラーシからもたらされた、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺に関する    最新情報,2008年まで  (1) ベラルーシとその国内・全6州と首都(ミンスク市)の甲状腺がん発生状況,     1985〜2008年   a.全人口中   b.14歳以下(小児)   c.15−18歳(青年期)   d.ブレスト州の甲状腺がん発生数,期間別   e.甲状腺がん発生率を見る時の注意  (2) 我々が甲状腺検診を続けているブレスト州の推定甲状腺     被曝線量と甲状腺がん発生率,1996〜2004年   a.推定甲状腺被曝線量   b.14歳以下(小児の甲状腺がん)   c.15−18歳(青年期)の甲状腺がん   d.15−18歳(青年期)被曝者の甲状腺がん発生までの最短潜伏期間,    2004年までを見て  (3) ブレスト州の甲状腺がん.2005〜2007年の症例を加えて   a.ブレスト州の甲状腺がん発生率の推移,1985〜2007年   b.ブレスト州と対照非汚染地域のビチェブスク州との比較,1985〜2007年   c.ブレスト州の甲状腺がん手術例(1986〜2008年)の臨床と病理(全年齢) 3)ブレスト州での甲状腺検診(対照非汚染地域としてのビチェブスク州も含めて),   1997〜2006年  (1) ブレスト州内の(地区別)累積甲状腺がん発生数と推定甲状腺被曝線量  (2) 甲状腺検診の対象と甲状腺がん、甲状腺機能、慢性甲状腺炎,1997〜2006年  (3) 甲状腺検診における尿中ヨード量,997〜2000年 4) ウクライナでの甲状腺検診中の尿中と食塩中のヨード量,1995年以後  (1) ウクライナの検診における尿中ヨード量,1995〜2008年  (2) ウクライナの小児(14歳以下)の尿中ヨード量,“ヨード入り食塩”使用の効果,     2002年 5) ベラルーシとウクライナで入手した食塩中のヨード量(?/g・食塩),   ヨード入り食塩に含まれるヨード量も含めて,1993〜2001年 6 チェルノブイリでの被曝者甲状腺がん発生過程のまとめ(2010年) 1) 放射線被曝からがんの芽・微小がんの発生まで 2) がんの芽・微小がんから臨床がんへ 3) チェルノブイリでの被災者甲状腺がんの特徴のまとめと今後   (甲状腺がんの誘発因子と増殖因子を含めて) 4) 最新の国連科学委員会によるチェルノブイリ原発事故後の   甲状腺がんの報告(2008年)から  (1) チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がん発生   a. チェルノブイリ(ベラルーシ,ウクライナの全土,とロシアの4州)被災者の、    被曝時に小児(14歳以下)・青年期(15−18歳)だった者に発生した    甲状腺がんと、甲状腺がんによる死亡例,1991〜2005年   b.被曝時年齢18歳以下の致死的甲状腺がん(死亡)症例   c.広島の40歳未満の被曝例中で甲状腺がんで死亡した症例  (2) 甲状腺がん発生の性と年齢に関して 7 セミパラチンスク核実験の被災者 1) セミパラチンスクの被曝状況 2) セミパラチンスクでの甲状腺検診,1999〜2008年  (1) セミパラチンスクでの末血リンパ球の染色体異常と甲状穿刺診   a.放射線による末梢血リンパ球の染色体異常と、甲状腺非腫瘤部(所謂正常部)の     穿刺診による甲状腺濾胞上皮細胞の“著明な核異常(ANA),2001〜2002年”   b.2008年の甲状腺検診での甲状腺濾胞上皮細胞核の、著明な核異常(ANA)  (2) セミパラチンスクの甲状腺がんの疫学調査の報告 8 広島、チェルノブイリ、セミパラチンスクの被曝3地域別の、     放射線被災状況と甲状腺がん発生のまとめ 9 広島の原爆被爆者の甲状腺がん:“被曝後の空白の10年”をふり返って 10 広島の原爆被爆者に発生した甲状腺以外の頚部臓器の腫瘍 11 追加:福島原発事故が発生して 1) チェルノブイリと福島の原発事故と放射性ヨード(I-131) 2) 福島のI-131による甲状腺への影響と問題点 3) (食卓用)味附け海苔を食べてのヨード量に関して 4) ヨードの摂り方 5) チェルノブイリ原発事故後の現地での甲状腺の検診,調査等から、   福島原発事故にあたって 6)福島第一原発事故(日本)での?-131汚染による甲状腺がん発生 おわりに 謝  辞
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